アメリカ留学後にOPTは使える?制度の概要と申請手順を紹介
アメリカ留学を終えた後、すぐに帰国するのではなく現地で働いてみたいと考える方は少なくありません。F-1ビザで留学している学生には、卒業後に専攻分野で実務経験を積める「OPT」という制度が用意されています。この制度を上手に活用すれば、最長12ヶ月、STEM分野であれば最長36ヶ月もの間、アメリカで合法的に働くことが可能です。本記事では、OPT制度の基本から申請手順、就労中に守るべきルールまでを詳しく解説します。アメリカでのキャリア形成を目指す方にとって、必ず役立つ情報をお届けします。
アメリカ留学後はOPTで一定期間働ける
アメリカに留学中のF-1ビザ保持者は、学業を修了した後も一定期間アメリカで働くことができます。この就労を可能にする制度がOPT(Optional Practical Training)です。ここでは、OPTの基本的な仕組みと3つの種類について詳しく説明します。
OPTの概要
OPTとは、F-1ビザを持つ留学生が自身の専攻分野に直接関連した実務経験を積むための就労許可制度です。米国移民法に基づき、学位プログラムの延長として位置づけられています。USCISの公式見解によれば、OPTは「F-1学生の専攻分野に直接関連した一時的な雇用」と定義されています。
OPT期間中も留学生は「F-1学生ステータス」を維持している扱いとなり、卒業してもビザの種類自体は変わりません。この点は多くの留学生が誤解しやすい部分ですので、しっかり理解しておくことが大切です。
OPTの期間は学位レベルごとに通常12ヶ月と定められています。さらに、STEM分野の学位保持者は追加で24ヶ月の延長が可能で、合計36ヶ月間の就労が認められます。
Pre-Completion型の特徴
Pre-Completion OPTは、学位取得前の在学中に利用できるタイプのOPTです。1学年度を修了した後から申請が可能となり、学業と並行して実務経験を積むことができます。
在学中の就労には時間制限があります。学期中は週20時間以下のパートタイム勤務に限られますが、夏休みなどの長期休暇中はフルタイムでの勤務が認められます。Pre-Completion OPTで使用した期間は、卒業後のPost-Completion OPTの期間から差し引かれる点に注意が必要です。
例えば、在学中にパートタイムで2ヶ月間働いた場合、フルタイム換算で1ヶ月分として計算され、卒業後のOPT期間が11ヶ月に短縮されます。
Post-Completion型の特徴
Post-Completion OPTは、学位取得後に利用する最も一般的なタイプのOPTです。全ての学位要件を修了した後に開始でき、標準で12ヶ月間の就労が認められます。
この形式では、週20時間以上の勤務が必須条件となっています。Pre-Completion OPTとは異なり、パートタイムのみでの就労は認められません。複数の雇用主のもとで働くことは可能ですが、合計で週20時間以上になる必要があります。
Post-Completion OPTでは、専攻に関連し労働法に違反しない限り、無給のボランティアやインターンシップも「就労」としてカウントできます。この点は、すぐに有給の仕事が見つからない場合の救済措置として重要です。
STEM OPT延長のポイント
STEM OPT Extensionは、理系分野の学位保持者に与えられる特別な延長制度です。DHS(国土安全保障省)が定めるSTEM分野の学位を取得した学生は、Post-Completion OPTの12ヶ月に加えて、さらに24ヶ月の延長が可能です。
STEM OPT延長を利用するためには、雇用主がE-Verifyに登録していることが必須条件となります。また、雇用主と学生は共同でForm I-983という公式な研修計画を作成し、提出しなければなりません。
STEM OPT延長期間中は、Post-Completion OPTとは異なり、無給のボランティア活動は認められません。必ず雇用主と被雇用者の正式な関係が必要であり、自営業についても原則として認められない傾向にあります。
アメリカ留学でOPTを利用するための資格要件
OPTを申請するためには、いくつかの厳格な資格要件を満たす必要があります。ここでは、F-1ビザの基本からSEVISの役割、学位レベルや在籍期間に関する要件について解説します。
F-1ビザの基本
OPTを利用できるのは、F-1ビザを保持している留学生に限られます。F-1ビザは、アメリカの認定教育機関でフルタイムの学業を行う学生に発給される学生ビザです。
F-1ビザを維持するためには、認定校でのフルタイム在籍、学業の継続、そしてビザの有効期限内であることが求められます。ビザのステータスに違反があると、OPTの申請資格を失うだけでなく、アメリカからの退去を求められる可能性もあります。
また、観光ビザ(B-2)や短期商用ビザ(B-1)からF-1ビザへの変更を行った場合でも、OPTの申請は可能ですが、手続きがより複雑になる場合があります。
SEVISの役割
SEVIS(Student and Exchange Visitor Information System)は、アメリカ政府が留学生の情報を管理するための電子システムです。全てのF-1ビザ保持者はSEVISに登録されており、この情報は学校と政府機関の間で共有されています。
OPTの申請においてSEVISは重要な役割を果たします。大学の留学生担当官(DSO)がSEVIS上でOPTを推薦し、I-20に記載することで初めて申請が可能になります。
SEVISの記録が正確でない場合や、ステータスに問題がある場合は、OPT申請が却下される原因となります。定期的に自分のSEVIS情報が正確かどうかを確認することが大切です。
学位レベルの要件
OPTは学位レベルごとに利用できる制度です。つまり、準学士号、学士号、修士号、博士号といったそれぞれの学位レベルで、原則として1回ずつOPTを申請することができます。
重要なルールとして、過去に同じ学位レベルでOPTを利用している場合、同じレベルの別の学位を取得しても再度OPTを利用することはできません。例えば、ある大学で修士号を取得してOPTを使用した後、別の大学で異なる分野の修士号を取得しても、修士レベルでの2回目のOPTは認められません。
より高い学位レベルに進学した場合は、新たにOPTを申請する資格が生まれます。学士号の後に修士号、修士号の後に博士号を取得すれば、それぞれの段階でOPTを利用可能です。
在籍期間の要件
Post-Completion OPTを申請するためには、「1学年度(One Full Academic Year)」ルールを満たす必要があります。これは、米国のSEVP認定校でフルタイム学生として、少なくとも1学年度を継続して修了していることを意味します。
注意すべき点として、語学研修プログラム(English language training programs)の期間は、この1学年度の計算にはカウントされません。学位取得を目的としたプログラムでの在籍期間のみが対象となります。
また、在学中にフルタイムのCPT(Curricular Practical Training)を12ヶ月以上利用している場合、OPTの資格を喪失する点にも注意が必要です。CPTとOPTの両方を利用する予定がある場合は、CPTの使用期間を計画的に管理する必要があります。
アメリカ留学のOPT申請は学校手続きが中心で審査もある
OPTの申請プロセスは、まず大学での手続きから始まり、その後USCISへの正式な申請へと進みます。厳格な期限が設けられているため、計画的な準備が不可欠です。ここでは、申請の具体的な流れと必要書類について詳しく説明します。
学校担当者(DSO)への依頼手順
OPT申請の第一歩は、大学の留学生担当官(DSO:Designated School Official)にOPTの推薦を依頼することです。DSOは大学に所属する職員で、留学生のビザ関連手続きをサポートする役割を担っています。
DSOへの依頼は、通常、大学の留学生課(International Student Office)を通じて行います。面談の予約を取り、OPT申請の意思を伝え、必要な書類を提出します。DSOはSEVIS上でOPTを推薦し、新しいI-20を発行します。
DSOがI-20を発行した日から30日以内にUSCISへ申請書を提出しなければならないため、I-20を受け取ったら速やかに次のステップに進む必要があります。30日を過ぎると申請は自動的に却下されます。
申請書類の一覧
OPT申請には複数の書類が必要です。以下の書類を漏れなく準備してください。
| 書類名 | 詳細・注意点 |
|---|---|
| Form I-765 | 就労許可申請書。2026年3月5日以降はEdition 08/21/25のみ有効 |
| Form I-20 | DSOによるOPT推薦の記載と署名があるもの(発行から30日以内) |
| I-94 | 直近の入国記録。オンラインで取得可能 |
| パスポート写真 | 米国規格(2×2インチ)、30日以内に撮影、未加工のもの |
| パスポートのコピー | 顔写真ページと最新の入国スタンプページ |
| 過去のEADカード | 以前にOPTやCPTを利用した場合のみ |
書類の不備は審査の遅延や却下の原因となるため、提出前に全ての書類が揃っているか、情報に誤りがないかを丁寧に確認してください。
I-765の記入ポイント
Form I-765は就労許可を申請するための重要な書類です。記入の際にはいくつかの重要なポイントがあります。
まず、カテゴリーコードの選択に注意が必要です。Post-Completion OPTを申請する場合は、(c)(3)(B)を選択します。カテゴリーコードを間違えると申請が却下される原因となります。
2026年3月5日以降は、Form I-765のEdition 08/21/25のみが受け付けられるため、申請時期によって使用するフォームのバージョンを確認してください。古いバージョンのフォームを使用すると、申請が受理されません。
氏名や生年月日などの基本情報は、パスポートやI-20と完全に一致している必要があります。わずかなスペルの違いでも問題となる可能性があるため、慎重に記入してください。
申請に適したタイミング
OPT申請には「90-60-30」と呼ばれる厳格なタイムラインが設定されています。この数字は、それぞれ重要な期限を示しています。
申請は、プログラム修了日の90日前から可能です。一方、プログラム修了日の60日後がUSCISへの申請書必着の最終期限となり、これ以降は申請できません。また、DSOがI-20を発行してから30日以内にUSCISへ申請書を提出する必要があります。
理想的には、プログラム修了の2〜3ヶ月前からDSOとの相談を始め、修了日の60〜90日前にはUSCISへの申請を完了させることをお勧めします。審査には数ヶ月かかることもあるため、早めの申請が安心です。
申請費用は申請方法によって異なります。オンライン申請の場合は$470、郵送申請の場合は$520です。また、プレミアム・プロセッシングを利用する場合は、2026年3月1日以降$1,780の追加費用が発生しますが、30営業日以内に審査結果を受け取ることができます。
アメリカ留学中のOPTで守るべき就労ルール
OPTが承認されてEADカードを取得した後も、いくつかの重要なルールを遵守する必要があります。これらのルールに違反すると、ステータスを失い、強制退去の対象となる可能性があります。ここでは、OPT期間中に守るべき就労ルールについて詳しく解説します。
認められる職務の条件
OPTで就労するためには、仕事内容が自身の専攻分野に直接関連している必要があります。全く関係のない分野での就労は認められません。
Post-Completion OPTでは、以下の形態の就労が認められています。
- フルタイムまたはパートタイムの有給雇用(週20時間以上)
- 複数の雇用主での勤務(合計週20時間以上)
- 専攻関連の無給インターンシップやボランティア(初年度OPTのみ)
- スタートアップ企業での自営業(厳格な条件あり)
STEM OPT延長期間中は、無給の就労は認められず、必ず雇用主と被雇用者の正式な関係が必要となります。この点は、初年度のPost-Completion OPTとの大きな違いです。
無職で許される日数の上限
OPT期間中に仕事をしていない期間には厳格な制限があります。この制限を超えると、ステータス違反となり深刻な結果を招きます。
Post-Completion OPTでは、累計で90日までの失業期間が認められています。STEM OPT延長を利用している場合は、追加で60日が付与され、合計で150日までとなります。
失業期間のカウントはEADカードの開始日から起算され、土日祝日も含めた全ての日がカウントされます。90日(STEM OPTの場合は150日)を超えるとステータス違反となり、強制退去の対象となる可能性があります。
そのため、EADカードの開始日までに就職先を確保しておくか、速やかに専攻関連のボランティア活動を開始できるよう準備しておくことが重要です。
就業先の学業関連性の判断基準
OPTでの就労は、専攻分野に「直接関連」していなければなりません。この関連性の判断は、仕事の内容と学位プログラムで学んだ知識やスキルとの結びつきに基づいて行われます。
例えば、コンピューターサイエンスを専攻した学生がソフトウェアエンジニアとして働くことは明らかに関連性があります。一方で、マーケティングを専攻した学生が完全に技術職のみを担当する場合、関連性の説明が難しくなります。
雇用情報を報告する際には、「仕事が専攻とどう関連しているか」を説明する必要があり、この説明が不十分だと問題となる可能性があります。就職活動の段階から、専攻との関連性を意識して仕事を探すことが重要です。
社会保障番号の取得手続き
アメリカで合法的に働くためには、社会保障番号(Social Security Number:SSN)が必要です。OPTが承認されEADカードを受け取った後、社会保障局(Social Security Administration:SSA)でSSNを申請できます。
SSN申請には、有効なEADカード、パスポート、I-94、そしてI-20が必要です。最寄りの社会保障局のオフィスに直接出向き、申請を行います。通常、申請から2〜4週間でSSNカードが郵送されます。
多くの雇用主は就労開始時にSSNを求めるため、EADカードを受け取ったらすぐにSSNの申請手続きを始めることをお勧めします。SSN取得前でも就労は可能ですが、給与支払いや税務処理に影響が出る場合があります。
税務上の基本事項
OPTで働く留学生も、アメリカの税法に従って納税義務があります。雇用主から給与を受け取る際には、連邦税や州税が源泉徴収されます。
留学生は通常、最初の5暦年は「非居住外国人(Non-Resident Alien)」として扱われます。この場合、FICA税(社会保障税とメディケア税)は免除されます。ただし、雇用主がこの免除を正しく適用していない場合もあるため、給与明細を確認することが重要です。
毎年4月15日までに確定申告(Tax Return)を行う義務があり、収入がない場合でもForm 8843を提出する必要があります。税務申告を怠ると、将来のビザ申請や永住権申請に悪影響を及ぼす可能性があるため、必ず期限内に申告してください。
まとめ
本記事では、アメリカ留学後に利用できるOPT制度について、その概要から申請手順、就労中に守るべきルールまでを解説しました。OPTは留学生にとってアメリカでの実務経験を積む貴重な機会ですが、厳格なルールと期限が設けられています。
- OPTはF-1ビザ保持者が専攻分野で最長12ヶ月(STEM分野は最長36ヶ月)働ける制度
- 申請は「90-60-30」ルールに従い、DSOへの依頼から30日以内にUSCISへ提出が必要
- Post-Completion OPTでは累計90日を超える失業期間は認められない
- 就労内容は専攻分野に直接関連している必要がある
- EADカード取得後は速やかにSSNを申請し、税務申告も忘れずに行う
OPT制度を正しく理解し活用することで、アメリカでのキャリア形成への第一歩を踏み出すことができます。申請手続きや将来のキャリアプランについて不安がある方は、専門家に相談することをお勧めします。
キミラボは、高校卒業後の留学や大学卒業後の就職・海外進学など、キャリア形成を長期的かつ継続的にサポートする企業です。これまで1,000件以上の相談実績を持ち、500校以上の提携大学から一人ひとりに合った最適なプランの提案が可能です。アメリカ留学やOPT後のキャリアについてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。